遺言・相続
遺言
概要
遺言とは自分の死後に財産を誰にどのように分けるか、という最終的な意思を記したもので、相続の争いを防ぎ、最後の自分の意思を実現させるための大事なものです。日本の民法で有効とされる遺言は、大きく分けて一般的な「普通方式遺言」(自筆証書遺言・公正証書遺言など)と普通方式遺言を作成できない緊急時に認められる、簡易な方法の「特別方式遺言」(危急時遺言・隔絶地遺言など)があります。それぞれ注意するポイントがあり、内容や形式が法律にのとっていないと無効になる場合があります。
特別方式遺言
1、危急時遺言:死の危険が迫っている場合
・一般危急時遺言:病気や怪我などで死期が迫っている場合。
・難船危急時遺言:船舶の遭難などで死期が迫っている場合(証人2名以上)
2、隔絶地遺言:一般社会から隔絶されている場合
・一般隔絶地遺言:伝染病などにより行政処分で交通が遮断された場所などにいる場合(警察官1名、証人1名以上など)。
・船舶隔絶地遺言:船舶中にいる場合(船長または事務員1名、証人2名以上など)。
主な特徴と注意点
・簡易性:普通方式より要件が緩和され、口頭で内容を伝えられる。
・証人の必要性:3人以上の証人(または指定された立会人)が必要で、利害関係者はなれない。
・家庭裁判所の確認:遺言を作成後、20日以内に家庭裁判所に請求して確認を受けないと無効となる(危急時遺言の一部)
・失効条件:普通方式の遺言ができる状態になってから6ヶ月生存すると、特別方式の遺言は無効となります。
・注意点:特別方式遺言は文字通り「特別」な状況でのみ利用される例外的なもので、平時に普通方式で遺言を残しておくことが最も確実でお勧めです。
普通遺言
1、自筆証書遺言(最も一般的)
概要
・遺言者本人が全文を手書きにして作成する必要があります。
・証人は不要です。
・費用がほとんどかかりません。
要件
以下を全て満たさないと無効になります。
①全文を自筆で書く必要があります。ワープロや代筆は不可です。
②正確に年月日を自筆で書く。例えば令和○年◯月吉日は不可です。
③署名をする。
④押印をする。実印でなくても良い。
財産目録を添付する場合はパソコン作成でも良い。その場合、各ページに署名と押印が必要です。
メリット
・手軽に作成でき、費用も抑えることができる。
・いつでも書き直すことができる。(亡くなった後、数枚の遺言が出てきた場合、最後に書かれた遺言が有効となります。
デメリット
・形式のミスにより、要件を満たさずに無効となりやすい。
・紛失または相続人による破棄や改ざんのリスクがある。
・相続開始後には必ず家庭裁判所の検認を受けなければならない。
新制度の遺言書保管制度
2020年7月10日より、自筆遺言を法務局に預け、画像をデータ化して保管する遺言書保管制度が始まってます。この制度を利用するとデメリットを減少したり解消したりすることができ、自筆証書遺言を用いて円滑に相続手続きを進める上で便利な役割を果たしてくれます。
メリット
①遺言の形式的ルール違反がないかどうか、法務局の職員がチェックしてくれるので、遺言が無効となることを防ぐことができます。
②法務局に保管することにより遺言の偽造や書き換えは困難になり、自筆証書遺言の弱点をカバーすることができます。
③遺言者の死亡を確認した場合、遺言書が法務局で保管されていることを申請時に指定した相続人に通知します。その通知により、遺言の存在が明らかになり、せっかく作った遺言が相続人に発見されないということがなくなります。
④家庭裁判所の検認手続きを受けれ必要がありません。
デメリット
①形式ルールについてはチェックしてもらえるが、遺言の内容については一切相談には応じてもらえない。
②遺言者本人が手続きに法務局へ行く必要がある。
2、公正証書遺言
概要
「公証役場で公証人に作成してもらう」最も確実でトラブルが少ない方法です。
作成方法
2名以上の証人の立ち会いのもと、遺言者が内容を公証人に口頭で伝え、公証人がそれを文書にまとめます。
メリット
・プロが作成するので、形式不備で遺言が無効になるということはほとんどなくなります。
・原本が公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配がなくなります。
・家庭裁判所での検認の手続きが不要で、すぐに相続の手続きを開始できます。
・相続人同士のトラブルが少なくなります。
デメリット
・公証人への手数料がかかります。
・証人を2名用意する必要があります。
3、秘密証書遺言
概要
内容は秘密にしつつ、存在だけを証明してもらう方法です。
作成方法
自分で作成して、封印をした遺言書を公証役場に持ち込み、証人2名以上と共に「自分の遺言である」ことを確認してもらいます。
メリット
・内容を誰にも(公証人にも)知られずに済む。
・第3者による代筆やパソコンによる作成もできる。
デメリット
・公証役場での手数料がかかる。
・内容はチェックされないため、いざ開封した時に不備で無効になる可能性がある。
・裁判所による検認が必要となる。
現状
手間がかかる一方でリスクもあるため、あまり利用されていませあん。
弊事務所では遺言の作成についての相談を承ります。また、公証役場や法務局への同行なども行なっています。
遺言の作成には、注意点や必要事項の記載のポイントがあります。
遺言の作成に熟知した専門の行政書士が在籍する弊事務所へ、お気軽にご相談ください。
相続
概要
相続が発生した際、遺産をどのように引き継ぐかは、「単純承認」・「限定承認」・「相続放棄」の3つ選択肢があります。
1、単純承認
最も一般的で、亡くなった方(被相続人)の財産をプラスもマイナスもすべて無制限に引き継ぐ相続方法です。マイナス財産の方がプラス財産よりも多い場合は、債務(借金)を負ってしまう場合が出てきます。
・内容:預貯金・有価証券・不動産だけでなく、借金や未払い金などの負債もすべて引き継ぎます。
・手続き:特別な手続きは不要です。
・法定単純承認:本人が望んでなくても「単純承認した」とみなされ、下記の行為をした場合は後から相続の放棄ができなくなります。
①相続財産を自分のために使ったり、売却したりした場合。
②相続開始を知ってから3ヶ月以内に、限定承認や方き手続きをしなかった場合。
③一度相続放棄・限定承認をした後でも、相続財産を隠したり、悪意で目録に記載しなかったりした場合。
2、限定承認
「プラス財産の範囲内でのみ相続し、借金を返済する」という条件付きで相続する方法です。
・メリット:借金を背負うリスクをゼロにできる。
・デメリット:
①相続人全員の合意が必要で、一人でも単純承認したい人がいると利用できない。
②手続きが非常に複雑で、家庭裁判所への申述や債権者への広告など、完了までに1年以上かかかる場合があります。
③みなし譲渡所得税を支払らわなくてはならない可能性があります。
3、相続放棄
相続放棄とは亡くなった方(被相続人)のプラス・マイナス全ての財産を相続しないことで、初めから相続人ではなかったものとして扱われます。
・一切を放棄:プラス・マイナス両方の財産が対象で、一部だけ放棄することはできません。
・目的:借金などの負債を相続しないため、または遺産分割の争いに巻き込まれたくない場合などに行われます。
・期限:相続開始および自分が相続人となったことを知った時から、3ヶ月以内に家庭裁判所に申述(申立て)が必要です。
・法的効果:相続放棄が認められると、最初から相続人ではなかったことになります。そして代襲相続もできなくなります。つまり、相続を放棄した相続人の子は相続人になれません。
・手続き:亡くなった方(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、申述書・戸籍謄本など必要書類を提出します。
・撤回不可:相続放棄後にプラスの財産が見つかってもそれを相続することはできなくなり、原則として後から撤回することが出来ません。
相続をする場合には3ヶ月の熟慮期間があります。単純承認・限定承認・相続放棄にしてもこの3ヶ月に結論を出さなくてはなりません。しかし、財産調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に申し立てることで、この3ヶ月の期間を延長してもらうことが可能となります。
相続の熟慮期間の3ヶ月はあっという間に期限が到来してしまいます。相続に熟知した行政書士が在籍する弊事務所へお気軽にご相談ください。
